こんにちは、しげもん(@shigemon1227)です。
Anycubic Photon(フォトン)をはじめ、格安LCDタイプの光造形機で使われるスライサーCHITUBOXでの設定方法について解説します。
複数の機種のプリセットを登録できる上、サポート材などの細かい設定もできるため非常に便利なソフトです。
・CHITUBOX
目次
CHITUBOXの初期設定(日本語設定・3Dプリンターの追加)
日本語設定
画面左上のメニューバーからLanguage→日本語をクリックします。
使用する3Dプリンターのプリセット追加
①画面右下にある設定をクリックします。
②ウインドウ左上の+マーク「新しいプリンターを追加」をクリックします。
(画像では既に登録されています)
③ご使用のプリンターを一覧から選択します。
今回はPhotonSを選択して操作を続けますが他の機種でも操作は同じです。
選択できたらOKをクリックします。
※基本的にこの中から選ぶことになるかと思いますが、お使いのプリンターが無い場合はDefaultを選択してから数値設定することになります。
初期設定は以上です。
CHITUBOXの基本操作(スライス工程・データの読み込み)
スライス(造形パラメータを設定して書き出す作業)の流れです。
スライスの工程
- STLデータを読み込む
- 立体の位置・向き・サイズを調整する
- サポート材を付ける
- 造形パラメータ(積層・露光時間)を設定する
- データを書き出す
データの読み込み
画面左上の「ファイルを開く」アイコンをクリックして任意のSTLデータをCHITUBOXへ読み込みます。
複数のデータを読み込むことも可能です。
データを選択してデータを読み込みました。
今回はいつもサンプル出力で使っている蒸気機関車のモデルを使ってスライスしていきます。
操作画面
基本的な操作の説明です。画面左のツール一覧よりデータの位置・傾き・サイズを決定します。
①造形エリア…選択した3Dプリンターのプラットフォームサイズが表示されています。
②移動ツール…データの位置を決めます。
③回転ツール…データを回転させ配置角度を決めます。
④サイズ変更ツール…データを拡大・縮小できます。
⑤反転ツール…データを反転することができます。
⑥メニューバー…画面上部です。アイコンにカーソルを合せると機能が表示されます。
STLデータを配置(回転・移動)
まず、回転ツールからデータの角度を決定します。
機関車をクリックして選択し(クリックすると青くなります)、回転ツールより角度を設定します。
今回は20度傾けました。
光造形はFDMと違って立体を斜めに配置して造形するのが基本です。
その理由はできるだけ造形物をFEPフィルムから引き剥がす際の抵抗を減らすためです。
いきなり大きい面を造形するのではなく、点から面へ徐々に断面積を広くしていきます。
この点に関してはこちらの記事で解説しています。
【初心者向け】「なぜ斜めに造形するの?」光造形の仕組みを解説 / 3Dプリンター
続いて、位置変更ツールよりデータを移動させて配置します。
今回は中央に移動したあと、Z方向に3mm移動させてボディをプラットフォームから浮かせました。
サポート材を付けるためのでプラットフォームから離しておく必要があります)
後のサポート追加画面からZ方向の間隔設定もできるのですが、私の場合は移動ツールで3〜4mm浮かせるようにしています。
もちろん位置を決めてから回転させる順番でも構いませんが、先に角度を決定している方が作業がやりやすいと個人的に感じています。
サポート材の追加・削除
造形の上でサポート材の設定は必要不可欠です。
頂点が下を向いている部分にはサポート材を付けないと造形されません。
基本的なサポート材の説明は以下の記事をご覧ください。
【初心者向け】なんのためにサポート材をつけるの?サポート材の設定 / 3Dプリンター
サポート材の設定は画面右上のサポートタブから行います。
サポート材の太さのプリセットは3種類用意されていますが、もちろん数値設定で変更可能です。
今回はプリセットの「中間」の太さを選択してサポートを付けていきます。
画面右下のサポート追加を選択します。
あとはボディのサポートを付けたい箇所をクリックしてサポートを追加していきます。
この際、サポートが付けれる箇所のみクリックできるようになっています。
クリックすると自動的にサポート材とラフト(土台)が自動的に追加されます。
直感的に操作ができるので使いやすいと思います…。
追加し終えた様子です。
隣接したサポート同士は自動的に接続されます。
「+すべて」をクリックすることで自動的にサポート材を生成することもできるのですが、予期せぬところにサポート材が付いたり、ボディを貫通したりすることがあるのでできるだけ自分で付ける方が良いです。
サポート材の削除
サポートを取り除きたい場合は画面右下の「サポートの削除」を選択します。
続いて、消したいサポートをクリックして選択します。
選択されたサポートは赤色に変わります。
再度マイナスをクリックすると選択していたサポート材が削除されます。
必要な箇所にサポート材を取付けれたらタブを切り替えます。
サポート材は多ければ多いほど造形の失敗リスクを抑えることができます。
ただし付けすぎると造形後にサポートを取り外す作業が大変になります。
何度かテストで造形をしてみて適量なサポート量を見極める必要があります。
「こういう箇所はサポートがいるんだな…」
「意外とサポートが無くても造形できるんだ…」
という箇所が出てきます。
注意点(クラッシュ・バグ?)
複数のデータを読み込みサポート材を付ける際、選択しているデータではないボディにサポートをつけようとするとCHITUBOXがクラッシュすることがあります…。
少し注意が必要です。
造形パラメータ設定
造形するデータの読み込みとサポート付けが終われば造形パラメータ設定を行っていきます。
各タブから細かい設定を行いますが、ここでは基本的な部分だけ見ていきます。
マシン(造形エリア)タブ
追加された機種の名前、LCD解像度、造形エリアのプリセットが既に入力されています。
プリセットの造形エリア数値は変更する必要はありません。
画面右側に反転(鏡像)の項目がありますが、こちらは機種によってはLCD-mirrorからNormalへ変更します(初期設定はLCD-mirror)。
機種によってLCDが反転している場合があるため、そういった機種の場合はLCD-mirrorを選択します。
同じ機種でもロットによって異なる場合もあるようなので、一度Normalで造形してみて反転して造形されてしまった場合はLCD-Mirrorに設定します。
PhotonSの場合はLCDが反転していませんのでNormalを選択します。
印刷タブ
こちらがメインのパラメータ設定画面です。
各項目の説明です。
- レイヤーの高さ…1層の厚さ
- 初期層の数…ラフト層の数(ラフトを何層で構成するか)
- 露光時間…1層のUV照射時間(ラフトではなく、造形物の照射時間です)
- 初期層の露光時間…ラフト層の露光時間
消灯遅延時間と初期層消灯遅延は未設定でOKです。
頻繁に設定するの露光時間になるかと思います。
露光時間は使用するレジンや造形物の形状によっても異なりますが、だいたい6〜8秒で設定されることが多いです。
露光時間を長くすれば硬化が進むため強度は上がりますが、肉太りして細かいディテールが失われます。
反対に細部のディテールを出したい場合は露光時間を短く設定した方がよいですが、短くしすぎると硬化が不完全になります。
よって、丁度いい時間を探る必要があります
※レジンは低温だと反応しづらいため、ここでは20度以上の室温で造形する前提で設定します。
画面上部の+マーク(新しい設定を追加する)を選択することでパラメータをプリセット登録することもできます。
レジンによって露光時間は異なるので、レジンごとの設定を登録して随時呼び出すことができます。
スライス(書き出し)
パラメータ設定ができれば画面右下のスライスをクリックします。
スライス中は画面下にインジケーターが表示され、スライスが終われば画面が切り替わります。
スライス後の画面です。
設定したパラメータとスライス断面を確認します。
バーを上下させることで断面図を切り替えて見ることができます。
問題なければ保存よりデータを書き出します。
書き出されたデータの拡張子は機種によって異なります(PhotonSの場合は○○.photons)。
サポート付きのファイルを保存する
また、サポートを付けた状態のデータファイルも保存することができます。
他機種で造形する場合は既にサポート付きのファイルを開いてから機種変更してスライスできるので複数台で同じデータを造形したい場合は便利です。
スライス完了!あとは造形するだけです
3Dプリンター本体へのデータ転送は基本的にUSBメモリを使います。
スライスしたデータをUSBに移し、3Dプリンター本体に差し込んで完了です!
今回は基本的な操作だけをピックアップしましたが、CHITUBOXの各部アイコンはマウスカーソルを乗せると説明がでてきますので操作は難しくないかと思います。
参考になれば幸いです、ご覧いただきありがとうございました。
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