こんにちは、しげもん(@shigemon1227)です。
株式会社エヌエスエス様より販売されている超低アレルゲン水洗いレジンを使用した感想です。
各色サンプルを送っていただいており2ヶ月ほど使わせていただきました!
結論から言うと使いやすさは◎です。
水洗いレジンですのでIPA洗浄不要、かつ、アレルゲン不使用ですので安心して使えました!
使用感などをまとめました!
目次
エキマテ 低アレルゲン水洗いレジンの特徴
エキマテ 光造形型3Dプリンター用水洗いレジンパッケージです。
エキマテとエキスパートマテリアルレジンの略だそうです。
黒色遮光ボトルに入っています。
開発・製造は岡本化学工業株式会社(埼玉県)、純国産の水溶性レジンです。
カラーは使いやすい「クリア・グレー・ホワイト」の3色です。
また、顔料を使って着色して造形することも可能です(その場合は露光時間を調整する必要があります)。
容量はいずれのカラーも500gと1000gの2種類から選べます。

製品ラインナップ
超低アレルギーリスク
注目すべきなのは超低アレルギーリスク。
一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会が発表している「ジャパニーズスタンダードアレルゲン2015のアレルゲン一覧」にある化学物質は一切使われておらず、少量なら舐めても大丈夫とのことです(味はとっても苦いです)。
普段レジンを舐めることはないかと思いますが、素手で触れてしまっても低リスクです。
ただし、体質により「絶対アレルギーが発症しない」と言い切ることはできませんので、使用する際は手袋の着用と換気は必要です。
対応機種
エキマテ低アレルゲンレジンはDLP・LCD機種対応のレジンですので、以下の機種で造形することができます。
- FLASHFORGE Hunter(ハンター)
- Anycubic Photon / PhotonS(フォトン)
- Phrozen Shuffle / Sonic (フローズンシャッフル/ソニック)
- ELEGOO MARS(マーズ)
- Sparkmaker(スパークメーカー) など
顔料が含まれているためよく振ってからバットに注ぎます。
スライスのパラメータ設定はそれぞれの機種で異なります。
スライス露光時間の設定
カラーによって造形時間が異なります。
以降はFLASHFORGE Hunter(ハンター)にて積層0.05mmで造形する際のカラー別パラメータです。
本体露光時間 | ラフト露光時間 | 時間購買層 | 光の強度 | |
クリア | 1.4秒(1.4〜1.5秒) | 11秒(11.5秒) | 8 | 100% |
グレー | 1.6秒 | 12.5秒 | 8 | 100% |
ホワイト | 1.7秒(1.7〜1.8秒) | 13秒(13.5秒) | 8 | 100% |
※( )内の秒数FunToDo顔料を2〜4適加えて着色した場合の露光時間です(要調整)。
※光強度は100%で造形します。
クリアが1番造形時間が早く、ホワイトでも1.7秒です。
FLASHFORGE純正のグレーレジンの0.05mm造形時の1層露光時間は2秒ですのでそれよりも短くなります。
Anycubic PhotonをはじめとするLCD機種では1層あたり約6〜8秒で造形できることを確認しました。
造形後の水洗い洗浄方法
以下、製品ページに記載の洗浄方法の抜粋です。
①台所用洗剤等(希釈した液をスプレー等)と水道水で粗洗浄します。
②水道水+洗剤の溶液で超音波洗浄機を使用して洗浄します。※1
③水道水のみで超音波洗浄機を使用して洗剤を落とします。※1
④最後に水道水で仕上げ洗浄を行います。
⑤表面を水気が無くなるまで自然乾燥させます。※2
(⑥)必要に応じて2次硬化を実施(60W-UVで60~120秒程度)※3
※1洗浄工程は60分以内で完了してください。大型造形品は30分以内を推奨。
※2乾燥させずに2次硬化させても問題ありませんが、乾燥させずに2次硬化した場合に造形品が白くなる場合があります。
※3 48時間程度2次硬化を行ってもクラックが発生しない事を
確認しております。(全てのモデルに発生しない保証はございません)
上記工程を全て実践すれば完璧ですが、作業環境などによってアレンジして使用します。
太字にしているところは使ってみて個人的に重要だと思った点です。
作業工程をまとめてみました。
実際にエキマテを使ってみた
造形はFLASHFORGE Hunter(ハンター)を使用しました。
今回はクリアレジンでの造形です。
他のカラーを使用する場合は顔料が含まれるためよく振ってからバットに注ぎます。
レジンのニオイは無臭ではありませんが油性レジンほど強いニオイはありません。
私は薄い洗剤のようなニオイに感じました(製品ページには洗濯のりのようなにおいと表現があります)。
スライスの際に各カラーごとの造形パラメータをFlashDLPrintにプリセット登録しておきました。
これで次回以降の造形でも便利です。
後は普段通り本体に転送したデータを造形します。
造形中のニオイはほぼありません!
Hunterはそんなにニオイを拡散させる機種ではありあませんが、換気はしています。
少し暗いですが造形後の様子です。
プラットフォームを外しました。
クリアレジンですのでキラキラしていて綺麗です!
プラットフォームから取り外します。
スクレーパーはOLFA(オルファ)のものを使用しています。
エヌエスエスさんに便利だと紹介していただき使い始めました。
先端傾斜が鋭利なため重宝しています。
ここからが洗浄工程です。
大まかな洗浄と二次硬化の工程は上の表のとおりです。
洗浄液(水+台所用洗剤)を入れた洗浄用タッパに造形物を移し、ナイロン製の筆を使って隅に入ったレジンを落とします(予洗い)。
洗浄はお湯の方が良いそうですが、ここでは水〜お湯の中間くらいの温度で洗っています(理由は特にないです、蛇口をヒネって出たときの温度です…、あえて冷水を使うようなことはしていません)。
また油性レジンで造形する際も同様の工程で作業していますが、IPAを使わなくて良いのが非常に便利です!
水洗いレジンを使ったことがない方はぜひ試してみてください…感動します…。
予洗いが終わると、次は超音波洗浄機で本洗いをします。
同じく洗浄液を入れたビーカーに造形物を移し、水をためた超音波洗浄機に入れて約2分洗浄します。
超音波洗浄機はあると便利ですが無くても問題ありません。
予洗い工程を何度も繰り返してレジンを落とせばOKです!
※洗浄液の処理は基本的にシンクに流して構いません(レジンを直接流すのはNG)。
下水処理に関しての詳細は以下をご覧ください。
参考リンク:水洗いレジン洗浄廃液の下水道への排水について
洗浄が終われば取り出して水で濯ぎます。
この時点で隅にレジンが残っていたりした場合は再度筆で洗うか、超音波洗浄機にかけています。
これは造形の形状によって対応は異なると思います。
これで洗浄終わりです。
この時点で触った感じはベタつきがあります。
素手で触るとベタベタは手に残りますが、石鹸で洗うと落ちます。
強度は脆い感じはなくしっかりしています。
水洗いレジンって柔らかく壊れやすいイメージがあったんですが思い込みでした…。
造形・洗浄後はレジンや水分を含んでいるためふやけている状態です。
1晩ほど置いて水分を乾燥させます。
ふやけているため画像のように細いディテールなどは歪んでいることがありますが、乾燥させることで引き締まって垂れていた形状は元に戻ります。
乾かさずに二次硬化させてしまうと垂れた状態で固まってしまいますのでしっかり乾燥させます。
ここからUVランプを使って二次硬化です。2分ほど全体に照射しました。
二次硬化すると表面のベタつきは全く無くなりサラサラ状態になります。
造形完成です。
クリアなので透き通っていて綺麗です。
少し分かりづらいですが二次硬化後は少し黄色がかります。
窓際に置いてみて黄変をチェックしてみます(二次硬化後はかなり黄色くなりますが、時間が経てばクリアに戻ります)。
積層は0.05mmです。
クリアなので分かりづらいですが、私が普段使っているサンプルデータですので見た感じHunterの造形はしっかり出ていると思います。
その他のカラーでもサンプル出力してみました。
グレーは明るめの色で綺麗です!
ホワイトレジンは二次硬化直後にかなり黄変します。
ただ、さらに硬化が進むことで純白へ戻ります。
(クリアレジンも黄変しますが時間が経てばクリアへ戻ります)
今回はHunter以外にPhoton・MARS・Phrozen Sonic Miniで造形テストを行いました。
どれもデフォルト設定を基準に±0.1〜0.5秒の調整で問題なく造形できました。
上の画像はPhotonで造形したものです。
少し太ってしまったのでもう少し露光時間を短くできそうです。
使ってみた感想
以下感想です、粗探しではありませんが良い点と気になった点を挙げておきます。
良かった点
- レジンの嫌なニオイがない
- 安心設計(不安要素が無くなります)
- IPA不要で洗浄工程が超ラク
使っていて「アレルギーになるかもしれない」という不安要素がなくなるのは精神衛生上良いです。
日常の造形のハードルが下がりました。
また、これは水洗いレジン全般に当てはまることですがIPA洗浄が要らないのはかなり便利です。
最近は超音波洗浄機を使わずビーカーに洗剤と水を入れてじゃぶじゃぶするだけで終わらすこともあります…。
気になった点
- サポート材は多いほうが良いかも?
個人的に感じたことですので参考程度に…。
このレジンは油性レジンなどに比べて柔らかめですので、気持ち多めにサポート付けしてあげる方が良いように思います。
とりわけ私が造形するのはミニチュアの鉄道模型がメインになります。
サポート材を付けれないような入り組んだディテールや凹みがある部分は、形状によっては引っ張られて垂れたようになることがありました。
屋根のひさしの下にレジンがたまっています。
こういう箇所は普段よりも多めに細かいサポート材を立ててあげることで補強して造形しています。
もしかすると鉄道模型など角張った形状が多いモデルよりもなめらかな曲面が多いフィギュアなどの造形の方が向いているのかもしれません。
ただ、エヌエスエスさんのTwitterで紹介されている造形物がすごく綺麗なので、私個人の使用方法や作業環境が悪い可能性の方が高いです。
大きいフィギュアなどがとてもシャープに造形されています。
低アレルゲン水洗いレジンをアップデートして販売を開始いたしました!
安全性はそのままに性能が大幅にアップ!
新色のホワイトを追加してグレー、クリアの3色のバリエーションのなりました。
様々なDLP/LCDタイプの光造機で造形可能です!
2月中旬納期で販売はこちらhttps://t.co/tKmGKsZ9tJ pic.twitter.com/Dufa3OOyfm— 株式会社NSS (@nssndt) January 25, 2020
最適な条件を見つけれれば綺麗に造形できます!
ハードルが下がり3D出力が楽しくなりました!
おわり