こんにちは、しげもん(@shigemon1227)です。
FLASHFORGEから新しく発売されたAdventurer3のデモ機を送っていただいたのでレビューしていきます。
製品名はAdventurer3(アドベンチャー3)でありAdventure3ではありません(末尾にrが付きます、当初は気づきませんでした…)。
【追記(2020.4.23)】
劇団ひとり様もこの機種を購入されたそうです。
【追記(2020.9.07)】
ADVENTURER3の標準設定で造形できるフィラメントを販売開始いたしました!
目次
開封
箱から取り出します。
本体上部を開封すると緩衝材にフィラメントや付属品関係が同封されています。
重量はそこまでありませんが重いと感じたら無理せず箱を寝かせて取り出しましょう。
ボディ全体に梱包材やテープが付いていますので取り除きます。
また、本体内部の駆動部に黄緑色のストッパーパーツが取付けられているのでこちらも取り外します。
取り外すのを忘れて駆動させると故障の原因になるので忘れずに取り出します。
※レビューしているのは初期ロットです。最新ロットとは梱包材が変わっているかもしれません。
本体外観(サイズ・各部仕様)
出ました、これがAdventurer3(アドベンチャー3)です。
第一印象は小さい!という感じです。
本体外観は白と黒のツートンカラーとなっており従来の3Dプリンターのような無骨な感じはありません。
本体サイズは幅388mm×奥行き388mm×高さ405mmと小型ボディです。
約40cm角ですのでまさに家庭でも使えますし事務所など片隅に置いていても溶け込みそうな外観です。
本体各部見ていきましょう。
フロント部に扉とタッチパネル、データ転送用のUSB端子が付いています。
前面扉と本体右側面、上部の一部透明素材になっており内部の視認性は良さそうです。
フィラメントは本体内蔵式となっておりボディ左側面にある蓋を取り外し設置します。
純正フィラメントであれば設置後蓋を戻すことができますが、リールの径が合わない社外フィラメントを使用する際は本体に設置ができないため少し工夫が必要です。
また、フィラメント検出機能が付いており造形途中にフィラメントが無くなってしまった場合は、その地点から継ぎ足し造形することも可能です。
電源コネクタ端子と電源スイッチもこの面に付いています。
本体背面にはPC接続端子があります。
PCと優先で接続することで純正スライサー FLASH PRINTからデーター転送や操作をすることも可能です。
造形エリア(ヘッド・プラットフォーム)
ADVENTURER3の造形サイズは150×150×150mmです。
本体が小型ですので大きい造形には対応していませんが十分なサイズかと思います。
ヘッドはX・Z方向に移動、ベッド部分がY方向に移動します。
ヘッド側面にはノズルにはファンがあり、ノズル先端に向けて冷却ノズルが付いています。
LEDも搭載しているので庫内を照らすことも可能です(ON/OFFスイッチ付き)。
ノズル径は0.4mmですが、別売りのノズルと交換することも可能です。
プラットフォームは前後にスライドする仕組みになっていてキャリブレーション(水平出し)不要です(※これについては後述)。
ヒートベッド機能搭載で100度まで加熱できるとのことです。
造形エリアはケーシングされていますのでABSの造形も可能です。
軟質素材のプラットフォームは引き出して取り外すことができ、曲げながら造形物を外すことができます。
プラットフォームが固定されている機種では造形物の取り外しが難しいことがあるため非常に便利です。
画層は何度か使用した後に撮影したものです。付着しているのは剥離防止に塗布したスティックのりです。
この後水洗いしてのりを落としました(なぜ写真を取る前に洗わないのか)。
また、庫内には200万画素の小型カメラがついておりネットワーク経由でプリントの様子をチェックすることができます。
付属品
付属品一覧です。
- 日本語クイックスタートガイド
- 電源ケーブル
- 工具(ドライバー・六角・グリス・ピンツール)
- 赤フィラメント500g
フィラメントは赤いクリアのものが付属しています。お試し用です。
セットアップ
外観を見終えたところでセットアップして造形していきます。
先述の通りこの機種はプラットフォームの水平出しが不要なため比較的簡単に扱えます。
本体側面の電源スイッチをONにします。
日本語設定方法
起動すればタッチパネルから操作します。
Tool→Setting→Languageの順でタップし、「の」を選択することで日本語表示に設定することができます。
日本語設定が「の」なのは謎です…。
フィラメント引き込み
本体にフィラメントを設置してノズルに引き込みます。
タッチパネルから樹脂交換→押し出しをタップします。
するとヘッドが加熱されます。
ここでこのADVENTURER3の高速ヘッド加熱に驚かされます。
(約50秒ほどでノズル温度が200度まで加熱されます)
あっという間に加熱されますのでフィラメントを袋から出して本体にセットしている状態で本体を操作しましょう…。
加熱が終わると音がなりフィラメントホルダーのフィラメント引き込み部のローラーが回転します。
矢印に沿ってフィラメントを差し込みます。
あとはノズルからフィラメントが押し出されればOKです。
フィラメントの交換・取り出し
反対にフィラメントを交換する場合はタッチパネルから樹脂交換→樹脂交換をタップします(同じ項目ですが正解です)。
するとヘッドが加熱された後にフィラメントがリール側に巻き戻されます。
フィラメントを取り外しできたら再度フィラメントの引き込みを行います。
テスト造形
フィラメントが設置できたらデータを造形してみます。
スライス(FlashPrint)
データのスライスは純正スライサーソフトFlashPrintを使用します。
今回はプリセットを選択してサンプルデータを造形します。
FlashPrintの詳しい使い方はこちらをご覧ください。
造形(データの転送・造形中の様子)
スライスしたデータをUSBがメモリに移し本体前面に差し込みます。
タッチパネルからプリント→USBメモリをタップし、プリントするデータを選択します。
データ選択後にプリントマークをタップすると造形が開始されます。
ヘッドの加熱が早いため造形自体はすぐに開始されるのですが、駆動音が驚くほど静かです。
同じ部屋で寝ることができるくらいの音です。
既に使っていたFLASHFORGE DREAMER(ドリーマー)は大きめのノズルのファンに加え本体のファンが2つ同時に周るため掃除機ほどの音が鳴ります…。
とはいえ無音ではありませんので初めて3Dプリンターを使われる方からすると「うるさいなあ」と思われるかもしれません。
造形中はヘッドが左右へ、ベッドが前後へ動いていて見ているのは楽しいです(洗濯機を覗いて楽しめるタイプですですので)。
ヘッドに付いているLEDは結構明るいです。
造形中に設定からLEDをオフにすることも可能ですので、夜間に造形したい方も問題ないかと思います。
振動は無いわけではないですがさほど気になりません。
造形が終わるまで待ちます。
造形完成
造形できました!
造形が終わるとヘッドが上部に移動して停止しています。
電源が落ちることはないのでファンの音は鳴っています。
プラットフォームを引き出して取り出します。
軟質プラットフォームですので軽く曲げるち「ペリッ」と造形物が剥がれます。
これは非常に便利です。
サンプルデータですが脱落などは無く造形はされています。
赤いフィラメントなのでチープに見えます…。
糸を引いている箇所もありますがプリセットでの造形ですので精度を上げるにはパラメータの追い込みは必要です。
駆動することは確認できました。
【追記】1年間使ってみた感想
ここからは1年以上ADVENTURER3を定期的に使用してみた感想です。
今では人気の機種となりましたが今後購入を検討されている方にとって参考になれば幸いです。
それぞれ箇条書きでまとめました。
良かった点
- コンパクト
- 動作音が静か
- 軟質プラットフォームが使いやすい
- 家庭用のFDM機ではこれで十分
内容は全て読んだ通りです…。
場所を取らず扱いやすいため、1台目の3Dプリンターとして購入するには十分遊べるかと思います。
また、長いこと使用しましたがカメラ機能は1度も使いませんでした。
イマイチな点
大事な良くない点もあげておきます。
- プラットフォームが水平ではない
- 第一層目が造形されないことがある
- ボディが黄ばむ
1.プラットフォームが水平ではない
プラットフォームはキャリブレーション不要と謳われているのですが、
前後に動くプラットフォームの駆動レール部分は中央ではなく向かって左側にあるため、プラットフォーム左側の方が高くなるようです。
画像では右側を持ち上げていますが、造形中は右側が下がります。
よって、プラットフォームの右端で造形する場合と、左端で造形する場合に大きく差が出ます(個体差もあるかもしれません)。
確かにキャリブレーション不要な設計ですが必ずしも水平取れている訳ではありませんので注意が必要です。
改善するためにはプラットフォーム右側を嵩上げして高さを調整するしかなさそうです。
2. 第一層目が造形されないことがある
プラットフォームが水平ではないめ、プラットフォーム左側と右側でノズルとベッドの間の距離が変わります。
そのためプラットフォーム左側ではノズルとベッドが接触しすぎてフィラメントが出ない、反対にプラットフォーム右側ではノズルが離れすぎていて造形されない、という現象がおきることがあります。
これを回避するために基本的には中央で造形することと、ラフトは必ず付けて第一層目を0.2mm以上に設定しています。
また、ノズルとプラットフォームの距離は設定画面の較正から調整することができます。
FLASHFORGE Adventurer3(アドベンチャー3) ノズル距離の較正方法 / 3Dプリンター
3.ボディが黄ばむ
エアコンやゲームボーイなどと同様に白いボディは黄ばみます…
いずれにせよ対策すれば問題なく造形できますので、おすすめできない機種ではなく、
コンパクトで導入しやすい機種なのには間違いありません!
ハードルが低く扱いやすい万能機です。
以下は製品ページです。
FLASHFORGE ADVENTURER3
https://flashforge.co.jp/adventurer3/
レビュー動画
人気のADVENTURER3のレビュー動画です。
開封〜セットアップ、テスト造形までをまとめています。
ご覧いただきありがとうございました!