こんにちは、しげもん(@shigemon1227)です。
SK本舗様より新しく発売されたPhrozen(フローズン)シリーズの最新機種、Phrozen Sonic Mini(フローズンソニックミニ)のデモ機を送っていただきましたのでレビューしていきます。
Phrozen Sonic Miniは造形時間を短縮したPhrozen Sonic(フローズンソニック)の小型版となっています。

造形速度が早くなったPhrozen Sonic(フローズンソニック)
Anycubic Photonなどと同じくLCD(液晶)搭載機種ですが、モノクロLCDが採用されたことで光の透過率が上がり従来の機種よりも早く造形することができます。
開封して見ていきます。
目次
開封
今や人気のPhrozenシリーズですが私は初めて使います。
中身をを取り出しました。
袋に入ったSonic Miniと付属品の入ったダンボールが入っていました。
第一印象はかなり赤いです。
そして小さいです。省スペースで活用できそうです。
本体に巻かれたフィルムを剥がします。
蓋を取り外すタイプですので中の緩衝材も取り除いておきます。
本体外観・造形エリア・内容物
本体外観を見ていきます。
本体サイズは幅250mm×奥行き250mm×高さ330mm、重量は4.5kgです。
デスクトップで扱えるサイズ感ですが、蓋を取り外した際の置き場所は必要になります。
ただ、蓋が全部取れることでバット周りの作業はしやすくなります。
リフト部分です。
支柱はアルミ製で本体と一体化されており剛性はかなりしっかりしています。
このあたりが貧弱だと造形に影響が出てしまいますが問題な印象です。
バット部分を寄って見てみます。
注ぎ口の付いたプラ製のバットです。
低価格モデルですのでこのあたりの作りは廉価版のような印象がありますが造形には問題ありません。
ただ、レジンを温めるためのヒーターを仕組みたい場合はプラ製バットだと扱いづらいかもしれません。
左右のネジを緩め、ネジがバットに刺さるように取付けられていますので真上に取り出します。
バットの直下にはモノクロLCDが搭載されています。
本体内部(LCDの下)にあるUVランプも従来のPhrozen Shuffle(フローズンシャッフル)シリーズよりパワーアップしています。
これにより通常のLCD機種であれば1層6〜8秒かかるとろころ、1層1.5秒ほどで造形が可能になっています。
また、バットの裏側は一部金属になっておりFEPフィルムは取り付け済みです。

バット裏側
梱包材のカスや埃などが付いている場合はこの時点で取り除いておきます。
粘着力が弱いマスキングテープなどでちょんちょんと触れて取ります。
付属品
付属品を見ておきます。箱の中身全てです(使い方のわからないネジが1つはいっていました…)。
- スタートアップガイド(英語冊子)
- 電源ケーブル
- プラットフォーム
- スクレーパー2種
- じょうご
- ゴム手袋
- マスク
- USBメモリ
- 工具(六角など)
スクレーパーが2種類付属していますが、おそらく金属製のものはプラットフォーム用、樹脂製のものはバット用かと思われます。
ただしそこまで品質は良くないので付属のものは使わずに別途用意するほうが効率がよいかと思います。
プラットフォームから造形物を剥がす際はOLFAのスクレーパーが便利です。
バット内レジン撹拌用には料理用のゴムヘラなどを使うとFEPフィルムを傷つけることが無いため安心です。
プラットフォーム
付属のプラットフォームはアルミ削り出しで無骨なフォルムです。
上部ネジは取り外し用、左右にあるボルトでレベリングを調整します。
造形面は食いつきを良くするために荒削りされています(そんな気がします)。

プラットフォーム造形面
重量もそこそこありますのでバットの上に落としたりしないように注意します。
プラットフォームは前後向きがありますので上部くぼみが奥側になるように本体にセットします。
セットアップ
電源を入れてセットアップしていきます。
操作画面(インターフェース)は異なりますが、行う基本的な操作はPhoton(フォトン)などと同じです。
タッチパネルで操作します。
日本語設定はありませんが操作は単純ですので問題ないかと思います。
レベリング(Z=0)の設定
※ここでは造形失敗を避けるため説明書と異なる方法でレベリング設定を行っています。
基本的な考え方は以下の記事で説明していますので先にこちらをご覧いただくとわかりやすいと思います。
これで解決!「造形されない」PhotonやMARSで脱落失敗しないレベリングの方法
以下手順です。
- レベリング設定をする際はまずプラットフォーム側面のネジを付属の六角で緩めます。
- タッチパネルよりTool→ZCalibをタップ、NEXTをタップします。
- プラットフォームが最下部まで下がり、自重でプラットフォームがバット底面に密着しているのを確認する
- プラットフォームがバット底面(FEPフィルム)に密着している状態で左右のボルトを締めて固定
大事なのはプラットフォームがバット底面に密着している状態で設定することです。
説明書には紙一枚挟むように指示がありますが、それだと場合によっては隙間が空きすぎてしまい第1層目が造形されないことがあります。
レベリングは一度設定すればOKです。
LCDパネルの点灯確認
続いてLCDTESTをタップしてLCDの点灯を確認します。
ムラ無く光っていればOKです!
Phrozen Sonic MiniのLCD点灯テストは前面照射されるため、造形が失敗してサポート材がフィルムに残ってしまった場合は、
LCDTESTからライトを全面照射して薄い板を造形し、サポート材もろとも一度に取り除くということも可能です。
テスト造形
あとはレジンを注いで造形するだけです。
今回はSK本舗さんから販売されている水洗いレジンを使用してみます。
スライス設定(CHITUBOX)
スライス設定はいつもどおりCHITUBOXを使用します。
設定の3Dプリンター追加よりPhrozen Sonic Miniを選択することで基本プリセットが呼び出されます。
デフォルトの照射時間が1.8秒になっていますので造形速度がいかに早いかがわかるかと思います。
CHITUBOXの詳しい使い方は以下の記事で解説しています。
【初心者向け】CHITUBOXの設定・使い方 / Anycubic Photon・MARS・Phrozen / 光造形用スライサー
造形開始〜造形中(動作音・UVランプの漏れなど)
書き出したデータをUSBメモリに移しSonic Mini本体に差し込みます。
タッチパネルよりPRINTをタップし、造形データを選択します。
あとはGOをタップすることで造形が開始されます。
Sonic Miniは冷却ファンが非搭載ですのでファンの音はしません。
その代わりリフト昇降の駆動音は他機種に比べて大きめです。
これはリフト速度の昇降スピードが早く設定されているためだと思われます(リフト昇降速度もCHITUBOXより設定できます)。
それでも当たり前ですがFDM機よりは静かです。
造形中気になったのは本体隙間よりUVランプが盛大に漏れます。
心配になるくらいの漏れなので気になる方は工夫して対策するのが良さそうです。
あとは造形ができるまで待つだけです。
造形失敗した!
造形が終わりました…が、うまく造形されていませんでした。
SK本舗さんの水洗いレジンは硬化適温が高めに設定されているようです。
基本的にレジンは低温では反応しにくいため室温やレジンそのものを温めてから造形する必要があるのですが、
この適温はレジンによって異り、SKさんの水洗いレジンは約25〜40度が適温とされています(あとから気付きました…)。
ただし、硬化反応しにくい反面、造形後の出来はシャープになります。
室温を上げるのは難しかったため露光時間を調整しながら何度か造形しなおしました。
造形完成
造形できました!
それでも一部薄い箇所の脱落があったため、やはりレジンは温めて造形するのが良さそうです。
あとはプラットフォームから造形物を取り外して洗浄します。
洗浄後の様子です。サンプルをいくつか追加しました。
やはりSK本舗さんの水洗いレジンはちゃんと造形できるとシャープで綺麗です。
今まで使ったことのあるレジンの中で一番シャープかもしれません…(レジンの比較はまた別の機会にするとします)。
機械の不具合などはなく操作面にも問題はありませんでした。
造形時間が非常に早いためかなり作業は捗りそうな気はしました。
まとめ・使ってみた感想
その後、Phrozen Sonic Miniで何度か造形して使っていますが特に不備はありません。
個人的に初めてのPhrozenシリーズでしたが、操作しづらいところなどは特に無く普通に使えました。
SK本舗さんの水洗いレジン以外での造形でももちろん時間短縮が可能です。
良かったところと、そうでなかったところを絞り出してみます。
良かった点
- コンパクト
- 時短できる!
イマイチな点
- 造形エリアは小さめ
- プラットフォームの上にレジンが溜まる
やはり良いところは造形時間が短縮できるところかと思います。
造形エリアが小さいのはMiniですので仕方ありません。
「もう少し大きいものが作りたかった…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので造形サイズは事前に確認すべきポイントです。
それにしても他機種と並べても本体サイズは小さめですので導入のハードルは低めだと思います。
プラットフォームの上にレジンが溜まる
造形最初の段階ではプラットフォームはレジンに完全に沈んでしまうのでプラットフォーム上部にレジンが溜まってしまいます。
毎回斜めにしてレジンを切る作業が少し手間だと感じます。
同じレジンを使い続ける場合は多少レジンが残っていても問題ないのですが、レジンを入れ替えることが多い場合は毎回プラットフォームのレジンを拭き取る必要があります。
このあたりの作りは同じ格安LCD機種のAnycubic Photonなどは斜め傾斜になっているためレジンのハケが良いです。
3Dプリンターでレジンガードなど作れるかもしれません。
総合的に主要機種の廉価版という位置づけにはなるかと思いますが、造形性能に劣りはありませんので入門機としてもおすすめできるとは思います!
以上、ファーストインプレッションを含めた開封レビューでした。
レビュー動画
以下レビュー動画です!
ご覧いただきありがとうございました!